墨染-sumizome.

墨は、炭素末「煤」を着色剤とし、「膠」を展色剤として練り合わせ、香料その他の伍剤を加え形を整えて、乾燥させて出来上がる。墨の歴史は、墨の造り手が如何に煤・膠を制するかの歴史である。墨造りの原料である「すす」は松を燃やすことによって大量に採れることが発見されると、豊富に松のある場所がすすの産地となり同時に墨の産地となっていった。

平安時代には、各地で造られていた墨も、松の伐採により次第に原料が不足したり、山の中での過酷な松煙造りの仕事に職人がいなくなったりし、次第に途絶えていった。このような中、奈良の墨は寺社を中心にして、紀伊熊野の山々から松煙の供給を受け造り続けられてきた。

今現在でも、奈良では、墨屋が1300年の墨造りの伝統を守りつつ、書画芸術の裏方として支える墨造りを続けている。しかしながら、1300年続いた奈良固有の伝統墨造り産業の継続は、既に墨造りだけでは企業が成り立たないところまできている。墨造りは全て手作りで、全て墨職人の力量にかかっている。3年はかかる墨を練る技術の熟練、体力、10月~4月の季節生産による収入問題、全身が黒く汚れる等々、数々の課題が横たわっているのが現状である。

今回の墨染めは、奈良の伝統墨工房から、様々な色味の墨の提供を受け、水墨画の世界を染めたものであり、日本古来の奈良墨の書画芸術を、染技により、現代に再構成したものです。多種の古墨色を再現し、奈良工芸墨の書画芸術世界を提案します。


製品染め見本

紫墨
青墨
茶墨

注意事項

すべての染色に使われている材料は独自に研究開発したものになります。

大量生産、大量消費を前提としたブランド様のお仕事は請け負っておりません。

年間加工数量に制限を設けております。お取引条件等は、お問い合わせ下さい。