栃ノ実染-tochinomizome

栃の実とは、栃の木に実る厚い果皮の中にある種子のことである。栃の木は山林に自生する落葉高木。葉は大型で掌状である。初夏になると、白色で紅色のぼかしのある花を咲かせる。学名はAesculus turbinata Blumeである。

栃の実の食文化は縄文時代から既にあったとされ、複式炉の遺跡からも栃の実が発見され、その時代から灰による灰汁抜きがおこなわれていたと考えられている。何年もの長期保存もきき、貴重なデンプン源で、栄養価にも富んだ栃の実は、保存食としても大変重宝されていたのである。

中でも、アク抜きは途方もない手間と技術が必要で、食用としての文化を持つのは、日本のみである。日本の伝統的な灰汁抜き処理は、文献によると、「虫殺し→天日乾燥→貯蔵→軽量→ふくらまし→皮むき→水さらし→調整→加熱・加灰処理→アク抜き確認→灰落し→蒸す→搗く」のように複雑な工程を経てようやく食べることができたのがわかる。

これは、栃の実が、サポニンやアロイン、タンニンというものを多く含んでいるためである。このような成分は、古くから食用以外にも、民間医療にて、胃腸に良いということで漢方などにも活用されてきた。
今現在でも、九月頃になると、栃の実が収穫され、和菓子の原料などに利用され、食されている。

今回は、そんな日本の長野県産の栃の実を用いる。

まず、伝統的な灰汁抜きの工程を参照とし、栃の実は硬いので、煮沸後、三日間冷暗所にて、灰と共に浸け置くことで、実を発酵させ、すり潰し、裏漉し後、染液とする。

次に、染を繰り返すこと複数回にて、葡萄色の発色を得るのである。

製品染め見本

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