柿渋とは、高い防水・防腐・防虫効果を持ち、古くから漁網や醸造用絞り袋、染色用型紙に渋団扇、紙衣、和傘など、あらゆる日用品に用いられてきたものです。また、漢方薬としても用いられ、柿渋がもつタンニンが血圧降下・火傷・二日酔いなどに効くと伝わり利用されてきました。
柿渋は、信濃柿と言われる西アジア原産で中国、日本で古くから栽培される柿の木から作られている。6月ごろから新枝の葉脈に黄白色の小花をつけ、果実は小さな楕円形で約1.5センチで熟すと黄色くなり食べることができる。未熟の青い果実から柿渋を取るために栽培されてきた。学名は、Diospyros Lotus L.である。
信濃柿から採取された青い実を粉砕・圧搾し、冷暗所で何年も熟成させます。抽出直後は黄緑色ですが、熟成を重ねるにつれ茶色に変化していく。このようにしてできた柿渋液を柿渋染に使用しています。
柿渋染は通常、渋染とも呼ばれている。「日本居家秘用」に「渋染の法 生渋一升に水九升入れ。たらひにてよく混ぜ合わせ。生布にて晒布にても。先ず水にて糊気をおとし渋水につけ。よくもみあわせ棹にかけ。その下に渋水の尽きるまで染てほすべし。渋色むらなくわたりて良き色にそまる。」とある。
柿渋は日光により、発色してくる天然の染料であり、乾燥と染色を繰り返すことで柿渋特有の深みのある色相を得ることができるのである。
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