茜はアカネ科つる性多年草の植物で、その赤い根を茜染めの染料として用いていたことにより、その名が知れています。
魏志倭人伝によると「卑弥呼が魏の国に国産の錦や赤、青の絹布や麻布を献上した」とあり、我が国の人は2世紀から3世紀にかけて赤い布を作る染色法を会得し、その染料として茜や紅花を用いていたと推定されています。万葉集での「あかね」の用例は13首もあり、すべて日、昼、紫、君等に掛る枕詞として用いられており、陽光が射すような明るいイメージを出しています。
茜は、根の部分にアリザリンという色素成分を含んでおります。インド更紗の赤や黒を染める重要な染料で、絹や羊毛などの動物繊維にはよく吸着しますが、木綿のような植物繊維にはなかなか染まりにくいものです。
インド更紗の染法では、木綿を予め水牛の乳とミロバランのタンニン酸に浸けてから、明礬や鉄塩を置いて染色します。水牛の乳に含まれるタンパク質が木綿を動物繊維に近づけ、またタンニン酸には、金属塩を固定しやすい性質があるからです。
今回の茜染めは、そんな伝統技法を継承しつつ、現代の草木染をコンセプトに再構成したものになります。
茜の抽出には、リンゴ酸を用い、一昼夜の時間を費やします。次に、アリザリンは非常に染め足が早いので、通常よりも大きな浴比を保ちつつ、昇温を工夫することにより均染を図ります。その後、十分な水洗を行い、40度ぐらいのぬるま湯にて、アルミニウムを配位させることにより、茜色を実現します。
製品染め見本
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