
1.邂逅
京都-
そこは、子供の頃、祖父と遊びに行く場所だった。
両親の仕事の関係で、住んでいたのは大阪だったけど、
小学校3年生ぐらいから、よく京阪電車に乗って、大阪から京都の祖父の家に遊びに行ったものだ。
京都の実家では、伝統的な染めの仕事を家でやっていた。
なんかよくわからないながらに、風呂敷の山をよく目にしていたような気がする。
今思えば、これが自分のルーツであって、原点です。
2.青 春 の 疑 問
「今さら、繊維業界なんて駄目だよ」
そういって皆が反対した。
誰もが20歳を超えると就職/職業というものを考え始める。
もれなく、自分もそうだった。
本当の自分を誤魔化して、ただ普通に条件と利己的な考えのみで職業を選んで、なんとなく生きていく。
そういう人生で本当に良いのか?
死を迎える時、”本当に俺は生きた”とそう言えるのだろうか?
二十歳の頃、自分に突き刺さってきた強烈な疑問だった。


3.運 命 と の 出 会 い
京都先斗町の小さなbarにて…
「君は、
“これは、自分がやらねばならないだろう”
そう思うことを仕事にしてみるのがいいのじゃないか?」
大学教授から囁かれたその言葉が今も忘れられない。
物凄い勢いで頭を叩かれたような気分になった。
今、日本のモノづくりは、もう駄目だと言われているけど、
もっとできることがあるんじゃないだろうか。
そこに自分もささやかながら、貢献できることがあるのじゃないだろうか。
”日本の繊維業界の次の時代を創る仕事がしたい。”
途方も無い目標と夢が生まれた瞬間です。